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月に囚われた男(ネタバレ注意)
第9地区と悩んだ映画
「君、明日から単身赴任ね」と言われたらどう思うだろうか。単身赴任とは嫌なものだ。いくら仕事上とは言え、単身赴任がいいと思う人はあまりいない。家族がいればなおさらに。しかし、単身赴任とは逆を考えれば家族から開放されて知らない土地での色々な人とのコミュニケーションを図れる場でもある。勿論、人がいれば・・・の話だが。
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単身赴任という発想を皮肉たっぷりにに描いた作品が、ゴールデンウィーク中に観た「月に囚われた男」だ。予告編を観たときからこの映画は観てみたいと思っていた。第9地区とどちらを観ようかと最後まで悩んでいた所だったが、結果としてこちらにしてよかった様な気がする(第9地区を観てないからなんとも言えないけど。)。
月に囚われた男
この映画では、近未来、地球では必要不可欠なエネルギー資源「ヘリウム3」の需要が基盤となっていた。巨大企業「ルナ」は、月でのヘリウム3採掘のため、契約期間3年、労度人数は一人という精神的にも過酷な条件の基へ一人の男を派遣した。それが、サム・ロックウェル扮するサム・ベルだった。サム・ベルは、契約期間の3年まであと2週間になり、愛妻と産まれたばかりの娘が待つ地球へと帰れる日も近い。3年間ヘリウム3の採掘ばかりで孤独に耐えた毎日ももうすぐ終わる・・そんなある日、とある事故が発端でサムはこの採掘プロジェクトの真相を知ってしまう。
ネタバレ感想
全体的にかつての2001年宇宙の旅、エイリアン、自分的には「スペース1999」を彷彿させるような懐かしいセットデザインで、今のアバターの様なVFXやらCGを使ったSFではない。デビッド・ボーイの息子である本作品の監督ダンカン・ジョーンズは、自称「SFマニア」であり、かつての旧SF映画へのオマージュとしてこの作品を制作費わずか500万ドル、製作期間33日という短期間で作り上げたという。
SF映画の本質とはブレード・ランナーやエイリアン等、SF映画のドキドキ感や期待感を持った未知への探究心がまずある。でも、作品の狙いとしてはそれだけではない。ジョージ・ルーカスが最初にメガホンをとったTHX1138、惑星ソラリスというSF近未来映画等にも共通して言える事だが「予測できない未来への警鐘」が込められている。
「月に囚われた男」のオチは、主人公サム・ベルは実はクローン人間で3年間単身赴任の記憶を植え付けられ、最後に地球に帰れると思わせられながらも、実は月にストックされた別クローンと記憶を消されて入れ替えられるだけ。その後、記憶を新しく入れて3年後か数年後に使われてしまうのだ。その間、月では鉱物資源が掘り起こされて企業は多大な利益を得る。
サムが自分はクローンだとわかったと同時に「本当に月に囚われた男」なんだと自覚する。クローンだからとは言え一人で月で働かされる事に疑問を感じ、地球へ帰りたい・・と願う。その切なさが映画を通じてひしひしと伝わってくる。そこには監督の宇宙で人類が暮らすための第一歩は純粋な科学的理由ではなく、利益追求の為であり「環境にやさしい」と謳う企業ですら、企業性質からも月の様な場所では、最小限のコストで事業を展開しようとするだろう。その時に裏側で何が犠牲になるかという部分を監督は描きたかったのだという。
ストーリーとしては、よくあるストーリーだが、クスッと笑ってしまうSF映画の場面がよく出てくる。月の採掘所をコントロールする人工知能コンピュータ(HALの様な感じ)「ガーティー」も愛らしいキャラとして描かれており人工知能でクールトークなのだが、どこか人間味ある設定になっている。ガーティーはスマイリーにも似た表情がディスプレイへ表示されており、これがまた可愛らしさを引き出している。主人公が幻想を見てしまうシーン等はソラリスそのまんま。今時の発想では出てこない分厚い宇宙服や計器類のデザイン。懐かしいSFを楽しむ裏で、これからの宇宙開発への警鐘を描く映画となっており、小作品ながらも「良くまとめられてできている」と思う。
魅力ある俳優達
最後にこの映画の魅力としてやはり、サム役を演じたサム・ロックウェルは一人3役(クローン3体)を演じているのだけど非常にコミカルキャラを演じているので面白い。今後が楽しみだなと感じた。また人工知能ガーティーの声を演じたケヴィン・スペイシーもクールでどこか微妙に温かみのある役柄で好感が持てる。出演人数は少ないが、俳優選択はグッドだと思った。
しかし、タイトルが「月の囚われた男」って・・原題の「MOON」でもよかったのにな。
| Print article | This entry was posted by lucifer-alpha on 2010年5月5日 at 10:22 AM, and is filed under CINEMA, 洋画. Follow any responses to this post through RSS 2.0. You can leave a response or trackback from your own site. |